膝の痛みに悩まされている方が多いと思います。

 今回は、８０代男性の方の膝痛についての症例を発表します。

１０月上旬右膝の痛みで来院。

初診時、数年前に整形外科で「変形性ひざ関節症」と診断されましたが、なかなか痛みが取れないという事で来院。

 患部を診ると、ひざの変形がかなり進行している状態でした。

※変形性膝関節症は、ご高齢の方だけでなく４０代くらいから症状が出てくる場合もあります。

下記の写真は、「変形性膝関節症」の左膝のレントゲンモデル像です。（４０代女性）

→の部分が変形を起こしている場所です。（矢印の部分を骨棘といいます。）

 変形性膝関節症は、関節の変形とともに関節の腫れと痛みを伴うことが多いです。

 しかし、今回の場合は膝関節の変形はありますが、関節内に炎症を起こしている症状はありませんでした。

 つまり、痛みの原因は膝の変形によるものではないということ。

今回の患者様の痛みの原因は、膝関節周囲に付着している筋肉の炎症が原因でした。

この患者様は、「変形性膝関節症＝運動して膝周りの筋肉をつけなさい」と指導されており、一日に一万歩を毎日歩いていました。

 歩くことは悪くないのですが、人それぞれ筋肉の量、つまり自分の力（筋力）で歩ける距離の限界値があります。

（本来は、その人にあったトレーニングプランを組み立てるべきです。）

自分の歩ける力以上に「一万歩」という歩数を頑張ってしまった為、ご自身の膝周囲の筋肉に過度な負荷がかかり筋肉に炎症を起こしてしまいました。（※数年前の当初は膝関節内に腫れなど炎症症状があったと思います。）

治療は、まず患部の炎症を抑える治療をします。

そして、一日一万歩を歩く事が負担になっていることも原因の一つですので、日常生活の指導・動作の管理します。（一日の動作や歩数など）

 はじめの３日間は、包帯で固定し患部の安静をはかりました。（※個人差があるので人により治療内容が変わります。）

 そして、その３日後、初診時の痛みは消失。

 筋肉の炎症がおさまってきたら、次に筋肉に対してのリハビリをおこなってきます。

 このリハビリの時期に、ご自身でできるストレッチや簡単なトレーニングを教えました。

リハビリを開始して一週間。

日常生活での痛みがなくなりました。

 その後も痛みが出ることもなくリハビリを続け、約二週間で治癒。

長年、痛かった膝が二週間で痛みが消失し、大変喜ばれていました。

 今回の治療で重要だったものは、日常生活での過ごし方と安静にする期間、膝に対してのトレーニングプランです。

 この患者様は、私たちの説明を理解し、実行していただいたため早期治癒することができました。

膝関節には骨、半月板（軟骨）、筋肉、靭帯などで構成されており、痛める場所も人によって全然違います。

 レントゲンは異常なし、でも膝の痛みが治らず一年が経ちました。。。

 このような方もいるかもしれません。

 私たちの院では、なぜ痛い？　どこが？どのように？　をしっかりと明確にして治療にあたっています。

強く炎症をおこしている膝に運動させても治りません。（炎症をおこしている部位を安静にさせる必要があります。）

 また、拘縮している膝を痛いからといって安静にしていても治りません。

※鎮痛薬で一時的に痛みは治まりますが、薬が切れれば再度痛みを伴います。薬だけに頼るのは得策とは言えません。

 「膝の痛みに苦しんでいる方を一人でも多く少なくすために。」私たちは治療にあたっています。

 膝の痛みがなかなか治らないお困りの方、一度ご相談ください。